プリンターの互換インクカートリッジとは?メリット・デメリットも紹
この記事は、互換インクとは何なのか基本情報を紹介します。
互換インクのメリット・デメリットや、純正インクとの違いを比較できる内容です。
自分に互換インクが向いているのか、どんなシーンに適しているのかわかり、プリンターインク選びで迷わなくなるので、ぜひ続きを読み進めてください。
プリンターの互換インクカートリッジとは?
ここでは、互換インクカートリッジの基本情報を紹介します。
互換インクを使う際には、基本情報を知っておくと迷いが少なくなるでしょう。
互換インクの読み方
「互換インク」の読み方は、「ごかんいんく」です。
「互換」とは、お互いに取り替えが効くことを言います。
つまり、「互換インクカートリッジ」とは、「メーカーが販売する純正インクの取り換えが効くインク」ということです。
メーカー以外のインクカートリッジのこと
プリンターインクの純正インクは、キャノン・エプソン・ブラザーが3大メーカーで、メーカー以外のインクは互換インクと言います。
他にも、純正インクメーカーには、以下のようなものがあります。
- HP
- リコー
- 富士通
- シャープ
- NEC
- 富士ゼロックス
- サンヨー
一般家庭で使うプリンターは、キャノン・エプソン・ブラザー製品が多いため、純正インクカートリッジ3種類以外は互換インクです。
ICチップを自作している
純正プリンターメーカーは、自社のプリンターでインクを認識するように、インクにICチップを付けています。
ICチップには、インクの型番や残量などの認識に使用します。
プリンターに純正インクを装着すると、「純正インクが装着されました」といった案内があるように、純正インクのICチップは互換インクとの違いも認識する特徴があります。
互換インクは、インクカートリッジ本体から自社製造しているため、プリンターで認識するICチップも自作しています。
純正インクのICチップと100%似せることはできませんが、エラーが出ないように作られているため、純正と変わりなく使用できます。
互換インクの信頼性や安全性について
プリンターに互換インクを装着しても、問題なく使うことができます。
しかし、「使える」と「安全に使える」とでは意味がまったく違いますよね。
ここでは、互換インクの信頼性や安全性について詳しく解説するので、自分に互換インクが向いているのか事前にチェックしましょう。
信頼性や安全性はメーカーによって異なる
互換インクメーカーといっても数十種類はあるので、「メーカーによって信頼性や安全性が違う」と言えます。
しかし、互換インクは「純正インクより安い」ことが最大のメリットで、安く作るため中国の工場で製造されていることが多いです。
中には日本国内工場で製造される互換インクメーカーもありますが、品質が安定する代わりに、コストが上がって価格が高くなります。
海外製造でも国内製造でも、以下の基準を満たしていると、信頼性や安全性が高くなるので、確認しましょう。
- ISO14001認定工場:環境保全の基準
- SO9001認定工場:世界基準の品質管理
染料に顔料を使うと発色性能や耐久性が良くなる
互換インクの品質を比べる際には、染料の違いを比較しましょう。
使われるインクには、染料インク・顔料インクの2種類があります。
染料インク | 顔料インク | |
---|---|---|
発色 | 透明感がある | 鮮明 |
適した用紙 | 光沢紙 | 幅広い |
速乾性 | △ | 〇 |
耐水性 | × | 〇 |
退候性 | 変色しやすい | 〇 |
適正 | 写真や画像 | 文章印刷 |
純正インクより発色や耐久性が落ちやすい互換インクは、文章印刷に向いています。
互換インクを文章印刷用に選ぶなら、顔料インクが採用されているメーカーを選ぶといいでしょう。
プリンターやインク保証があると安心
品質や安全性が高い互換インクは、保証制度が充実しています。
「プリンターで認識しない」「インクがこぼれた」などの問題があるときは、初期不良品の可能性があるため、無償交換がおすすめです。
中には、「プリンターが壊れても保証」を謳う互換インクメーカーもありますが、「プリンターを買ってから1年まで」など期限付きがほとんどです。
プリンター保証はあまり当てにできないので、最低限でもインクの無償交換に対応する互換インクメーカーを選んでください。
プリンターに互換インクを使うデメリット
プリンターに互換インクを使うと、以下のデメリットがあります。
メーカーによって不良品がある
互換インクメーカーの選び方を間違うと、不良品に当たる可能性があります。
中には、安さだけを売りにしており、ICチップの認識率が悪く、顔料の品質が悪いメーカーもあるため、注意が必要です。
プリンターが壊れても純正の保証が使えない
キャノンやブラザーなど純正メーカーの保証が得られるのは、プリンターに純正インクを使ったのみだけです。
互換インクを一度でも使ったときは、キャノンやブラザーなどの純正プリンターの保証が得られません。
純正のプリンターでも初期不良は稀にあるので、プリンターを買ったばかりのときに、互換インクを使うのは避けたほうがいいでしょう。
純正と比べて印刷クオリティが低い
互換インクは、純正インクと比べて顔料の質がやや下がってしまいます。
印刷した当初は大きな違いがなくても、10年後や20年後など年数が経過するほど、互換インクの印刷クオリティの低さに気が付くでしょう。
プリンターに互換インクを使うメリット
互換インクにはトラブルがつきものだと分かっていても、以下のメリットを得るため、あえて互換インクを選ぶ人がいます。
純正インクと比べてコストを下げられる
純正インクは、10年後も20年後も変わらない印刷クオリティがあります。
しかし、普段の印刷でそこまでのクオリティは必要でしょうか。
カラー印刷や文章印刷がほとんど場合では、純正インクほどのクオリティは必要ないので、だったら安い互換インクを選ぶメリットがあると言えます。
ヘッドクリーニングを行いやすい
インク代が高い純正インクは、ヘッドクリーニングは気軽に行えません。
純正インクであってもプリンターの目詰まりが起きることがあるので、長期間プリンターを使わないときは、ヘッドクリーニングが必要です。
しかし、ヘッドクリーニングはインクを大量に消費するため、費用が高い純正インクだと頻繁に行うことはできないでしょう。
一方で、値段が安い互換インクなら、気軽にヘッドクリーニングが行えるため、プリンターの目詰まりを防ぎやすく、プリンターが長持ちするメリットがあります。
普段使いの印刷に向いている
ひと昔までは「互換インクはプリンターが壊れる」「すぐに色あせる」といった問題がありましたが、製造技術の進化により、一見純正と変わらない仕上がりのものも出てきました。
印刷した直後では、互換インクと純正インクの違いを見分けられないものもあります。
確かに、100年後に比べれば違いは歴然なのですが、普段使いのインクなら互換インクでも十分に満足できるでしょう。
文章印刷、年賀状印刷など、白黒やカラー印刷程度なら、互換インクでも十分なクオリティが得られます。
多数ある互換インクを比較したいときは、以下の記事も併せてご覧になってみてください。
互換インクとの違いを比較
プリンターに使用するインクは、純正インク・互換インク・リサイクルインク・詰め替えインクのように、4種類が選べます。
純正インク | 互換インク | リサイクル | 詰め替え | |
---|---|---|---|---|
価格 | 高い | 安い | やや安い | 安い |
印刷の仕上がり | 高い | 中程度 | 中程度 | 中程度 |
耐候性 | 高い | 中程度 | 中程度 | 中程度 |
互換インクと純正インクの違い
純正インク | 互換インク | |
---|---|---|
価格 | 高い | 安い |
用途 | 写真の印刷 | 文章や年賀状印刷 |
互換インクと純正インクの大きな違いは、価格と品質です。
純正インクは印刷の仕上がりや耐久性を高めるため、開発コストがかかっています。
一方で、互換インクは純正インクのコピー品のようなもので開発コストがかからず、純正インクほどの高クオリティを求めない人向け商品のため、低コストです。
安く印刷したい書類では互換インクを使うメリットがありますが、耐久性や仕上がりを求める写真印刷では純正インクが適していると言えます。
純正インクは「100年持つ仕上がり」を謳う製品もあるため、製本や写真印刷をするなら、純正インクを選んだほうがいいでしょう。
互換インクと再生インクやリサイクルインクの違い
互換インク | 再生インク | |
---|---|---|
容器 | 自社製造 | 純正の回収品 |
プリンターエラー | 稀に起きる | 置きにくい |
価格 | 安い | やや安い |
用途 | 文章や年賀状印刷 | 文章や年賀状印刷 |
「再生インク」や「リサイクルインク」と呼ばれるのは、使い終わった純正インクにインクを詰め直して再販した商品のことです。
ホームセンターなどに行くと、インクカートリッジの空き容器を回収していますよね。
あれは、キャノンやエプソンなどの純正メーカーが回収しているわけではありません。
「再生インク」や「リサイクルインク」を販売するメーカーが容器を回収しており、インクを詰め直して再販しています。
インクカートリッジ本体は純正で、ICチップが本物なため、プリンターに装着すると、「純正インクが装着されました」と認識してくれて、「プリンターでインクを認識しない!」といったトラブルはほぼありません。
しかし、顔料自体は純正ではないため、印刷クオリティは互換インクと同等だと思っておきましょう。
純正インクカートリッジを回収するコストがかかっているため、容器からオリジナルで作る互換インクと比べると、再生インクは費用が高くなります。
互換インクと詰め替えインクの違い
互換インク | 詰め替え | |
---|---|---|
価格 | 安い | 最安値 |
プリンターエラー | 稀にある | ほぼない |
リスク | 少ない | インク漏れ |
互換インクよりさらに費用を抑えたいときは、詰め替えインクがおすすめです。
容器がないので最初は純正インクを買う必要がありますが、空になったら詰め替えインクを入れて自分で再生できます。
簡単に説明すると、「自分で作る再生インク」と言った感じですね。
詰め替えインクのメリットは、互換インクよりも安く印刷できることです。
純正インクの容器を使えば、プリンターが認識しない問題はほぼありません。
しかし、自分で詰め替えなければならないので、手間がかかりますし、インクをこぼすと周りを汚すリスクがあります。
また、純正インク容器に穴をあけて詰め替えインクを補充するため、物理的に詰め替えられる回数に制限があり、1〜2回くらいが限度でしょう。
空けた穴はシール等でふさぐので、シールの劣化でインクが漏れるリスクもあります。
互換インクに関するよくある質問
ここでは、互換インクを選ぶ際のよくある疑問を集めてみました。
Q1:コピー機に互換インクは使える?
互換インクはインクジェットプリンター用に売り出されていることが多く、コピー機用の互換インクはほとんどありません。
Q2:互換インクの使用期限は純正より短い?
純正インクの使用期限は未開封で2〜3年・開封後は6か月なのに対し、互換インクの使用期限は未開封で1〜2年・開封後は6か月以内が推奨です。
互換インクは純正よりインクに開発コストがかかっていないため、未開封時の使用期限が短くなります。